San Diego Chapter, House Rabbit Society | Health | Vet Talk 原因不明の神経学的疾患 神経学的な疾患は、ペットのウサギでは良く見られるが、これらの多くの疾患の原因 は診断が難しく、あるいは診断のつかないことも多い。最もよくみられる神経学的な 疾患には、torticollis、wryneckと言われる斜頚や平衡感覚の消失、失禁、後肢また は前肢の跛行、麻痺、痙攣発作などである。飼い主向け、獣医向けの多くの書籍で は、Encephalitozoon cuniculi (E. cuniculi)がそれらの神経学的疾患の多くの、あ るいはすべての原因ではないかと述べられている。しかしながら、文献によると、こ の微生物に関してはほとんど知見がない。 E. cuniculi は偏性寄生原虫で、他の動物の体内だけで生存が可能である。細菌のよ うに宿主の体外で生存し、繁殖することは出来ない。これは微胞子虫類と呼ばれる寄 生原虫の近縁としてに分類されている。 ウサギは E. cuniculi の好適宿主である が、この微生物はマウスから人まで様々な生物に寄生する。 E. cuniculi の生物学についてほとんど知られておらず、正確な感染ルートは、確認 されていない実験的には経口的、経鼻的にマウスに感染が行われた。すなわち E. cuniculi の胞子(この微生物の感染ステージ)を飲み込むか、吸い込むことによっ て感染が起こると言うことである。胞子は母親から出生前の胎子にも感染するものと 考えられている。この感染経路はペットのウサギに最も起こりうる感染方法かもしれ ない。 この病原体がウサギの体内に侵入すると、通常は病気と戦う細胞である白血球(大食 細胞)の細胞内に感染して体内を移動するものと考えられている。最終的にはウサギ の腎臓、脳、脊髄、稀に肝臓や肺の組織に感染する。腎臓や肺で感染性の胞子の新生 が起こり、尿や肺の分泌物から排泄される。これらの胞子は、ウサギの体外で発育す ることはないが、長期間生存することが可能であると考えられる。 この病原体に感染しているウサギの多くは、なんら臨床症状を示さない。感染したウ サギの中には上記されたような神経症状を呈するものもいる。神経学的な疾患に罹患 したペットウサギにおいて、 E. cuniculi の感染を原因とするものがどの程度の割 合であるかと言った広範な調査は全く行われていない。古くからこの病原体が疾患を 引き起こすことは稀だと考えられていた。しかし、ペットのウサギ関連団体では、臨 床上徴候を示すウサギは珍しくないと考えられている。この疾患に関する文献中の統 計は、実験動物としてのウサギでの発生率に基づいており、ペットのウサギには、よ り高い感染率が考えられる。 これまで E. cuniculi の確定診断は死語の剖検でのみ可能であった。近年さまざま な検査法が開発されている。病原体に対するウサギの免疫応答により判定する方法で ある。それにより、ウサギに E. cuniculi 感染が起こったかどうかを知ることが出 来る。残念ながら、これらのテストでは、ウサギが呈している徴候がこの病原体に原 因するものかどうかを知ることは出来ないまた、E. cuniculi に対する検査で陽性と 判断されたウサギが、他の原因によって起こる神経学的な症状を呈することも起こり うる。 免疫不全の人におけるこの病原体または他の病原体への感染が増加していることか ら、Encephalitozoon感染に対する治療報告は増加している。E. cuniculi や、他の 微胞子虫目の寄生虫は、エイズ患者には良く合併症である。これらの見られる感染症 の中で、E. cuniculi によって起こる感染症は最も治癒の可能性がある。それらの感 染症の治療薬が、現在ウサギの E.cuniculi感染の治療薬として調査が行われてい る。これらの新しい治療がどれくらい効果があるか、検討される必要がある。 この疾患の予防は、動物の検査を通じて達成することができる。 この疾患は母から子に垂直感染を起こすので、繁殖用の動物の検査は、特に重要であ る。ペットショップやウサギのショーは血清学的に陰性の動物だけを販売するか、展 示することによって、この疾患を撲滅することに貢献することができる。House Rabbit Society は、 血清学的に陽性のウサギは他のウサギを飼育していない家、ま たは陽性のウサギを飼育している家に引き取られるべきであると考える。 この点に関して、ペットのウサギのでの E. cuniculi 感染についてはより多くの疑 問がある。 答えを得るために、我々はさらに調査を続け、ペットのウサギにおける 神経学的疾患の原因の診断が可能となるように努力をする必要がある。 E. cuniculi の診断に必要な診断薬などは入手可能となりつつあり、幸運にも治療に成功した例も ある。 By Jeffrey R. Jenkins, DVM