ウサギの栄養 Part I: 線維素の重要性 Elizabeth Te Selle in consultation with Cindy McBee, DVM ---------------------------------------------------------------------------- 長い間私は我が家の犬や猫の餌に何を与えたらよいのか悩んできました。市販されて いる高級食、処方食、自然食、また野菜中心の餌などを調査し、分析しましたが、時 間の無駄でしたが、様々な餌の含有物の品質、消化率、蛋白と脂肪の比率などについ て正確な知識を持つことで、私たちの飼っている動物が食べている物が彼らの健康を 保ち、おそらく寿命も延長させるだろうと確信しました。同じ様な品質と品々がウサ ギの餌に関しては得られないことに私は失望してきました。しかし、ペットのウサギ を診察している獣医師たちが臨床経験と関連して行った最近の餌の調査では、状況は 変わってきています。 これまでになされたウサギの栄養に関する多くの研究は、長期飼育を目的としたもの ではなく、生産性を目的としたものでした。今回の調査で、ウサギの食べるどのよう なものがウサギにとって好ましい影響を持ち、どのような物が私たちの恐れるウサギ の生命に関わる消化器疾患を招くのかを明確にすることで、私たちがウサギに対して 十分貢献できることが明らかとなるでしょう。どのような給餌プランが最適か厳密に 明言することは出来ないかも知れませんが、HRSの里親たちや会員、獣医師などの経 験が、私たちに、何が良くて何が良くないかという貴重な情報を与えてくれます。 腸管内の働き 最初に、ウサギの腸の働きについて知ることが重要です。ウサギの消化機構は強固な 形のセルロース、草木の茎や繊維に富んだ野菜などを摂取できるようにできており、 同時に消化される物があるときに最も良く働きます(Brown 1994)。しかし、大量の細 かく砕かれた餌や砂糖、炭水化物含量の多い餌などは腸管に負担を与えます。そのた め、ウサギを長期間健康に育てるために必要なことは、消化されない繊維素と栄養と のバランスが取れるようになる間、ウサギの消化器官の機能や活動を確実に維持する ことです。 猫ではなく馬のように。 ウサギは馬のような長い腸を持ち、セルロースをゆっくりと分解し消化します。野生 では、ウサギはある時期を除いて、穀類を一度にたくさん食べることは滅多にありま せん。また他の栄養分の豊富な餌に出会うこともありません。野生の馬が荒野でバケ ツいっぱいのオーツ麦に出会うことなど無いことと同じ様なものです。調教中も馬に は穀類を自由に与えたりはしません。穀類を多給すると疝痛というたいへんな状態を 招きます。 同じようなことはウサギにも起こります。処理できない炭水化物やグルコース、消化 できない蛋白質の与え過ぎなどは盲腸の嵌頓を起こします。繊維素の多い餌は盲腸も 動きを刺激し、この状態の予防に役立ちます。ペレットに含まれる繊維素も同じ繊維 素には違いありませんが、草食動物の消化管内を通過する食物に含まれる繊維素とし ては、干し草に含まれる大きな繊維素の方が、細かく砕かれた小さな物よりも効果が あることがわかっています。繊維素の多い餌は腸管内での毛球を予防するだけでな く、腸炎に対して予防的にも働きます[Cheeke 1987, 181]。 毛球症はウサギには良く見られますが、これまで考えられていたほどには主な疾患と して発症はみられません(特にペットのウサギでは)。実際にHRSの里親の元で十分 に運動をし、十分な量の干し草や新鮮な野菜を与えられ、ペレットは制限的に与えら れているウサギでは毛球症の発症は全く見られてず、ウサギに一切毛玉予防の緩下剤 を与えていない場合でも見られていません。この状況を説明する一つの理由として、 十分な運動と干し草のどちらもが腸管の運動を高め、あるいは食物の消化管の通過の 比率を高めることなどが考えられます。干し草は細かく砕かれた食物よりもはるかに 速く腸管を通過するため、このような働きを持ちます(Cheeke 88)。また、運動する ことで腸管の蠕動運動が亢進されます。繊維素の多い餌を与え、同時に運動をさせる ことで、飲み込んだ毛と食物が胃の中に蓄積することを予防できます。興味深いこと に、野生のウサギでは腸炎は一般に見られません。これはペットのウサギの食餌や生 活がこの疾患の発生頻度の高さに関わっていることを示しています(Cheeke 1987, 330; Kraus 1984, 236)。 干し草はあらゆる点で重要です 野生のウサギは草を食べますが、これが乾燥していれば干し草と同じことになりま す。その結果常に多量の干し草を食べていることになります。また単に噛むためので は無く餌として食べていると考えるべきです。干し草はそれに含まれる非常に貴重な 繊維素に加え、ビタミンやミネラル、蛋白質などをウサギの消化管が消化できるよう な形で供給するだけでなく、それらの栄養素はウサギの健康にとって実際に必要なも のです。 ウサギの飼育経験豊富な多くの人たちが、おとなのウサギにアルファルファの干し草 を与えることに反対します。特に繁殖というストレスを受けていないウサギでは必要 ではなく、このため繁殖時のようにカルシウム補給も必要ではありません。アルファ ルファ、特に風味のよい葉の部分は他の干し草に比べてカルシウムと蛋白質が多く、 他のカルシウムを多く含む餌と共に与えた場合、からだに害を及ぼすほどのカルシウ ムを摂取することになってしまいます。乾燥重量の分析では(水分を含んだものより 正確です)、アルファルファは他のどの干し草よりカルシウムが多く、繊維素含量は 少ないことがわかっています(表1参照)。 地域によって様々な種類があるでしょうが、牧草の干し草は高齢のウサギにとっては 最適な餌で、特に泌尿器に問題のあるウサギには適します。カルシウムが少なく繊維 素が多いので、そのウサギには必要のないものを摂取させることなく、必要なものを 供給してくれます。牧草の干し草を食べたことのないウサギの中にはそれを嫌ってア ルファルファを欲しがるものもいるかもしれません。しかし、ペレットを制限して一 日二回新鮮な野菜だけ与えていれば、食餌の間には十分お腹をすかせ、あきらめて干 し草を食べるようになるでしょう。ウサギが牧草の干し草を全く受け付けない場合 は、半量ずつ混ぜて与えるか、あるいはアルファルファを原料としているペレットの 量をごくわずかに制限していれば、アルファルファを与えても良いでしょう。 本来の食餌へ ウサギの食餌として重要ではありますが、干し草はウサギの正しい食餌の一部分に過 ぎません。食餌の問題を調べてきた獣医師や里親たちは、私たちがこれまでに行って きたウサギへの給餌方法(ペレットを制限せずに、ときどき野菜を与える)が、健康 に最も良い方法ではなかったと感じています。このシリーズの次の記事では、これら の問題について詳細に触れます。私たちはこれまで考えていたウサギに対する餌の与 え方を変え、ウサギに与えなければならないものを与えようと考えます。それによっ てこれまで長年にわたってペットのウサギを死に至らしめてきた疾患にたいして抵抗 できる力をウサギに与えることが出来ると思います。 表 1: 干し草に含まれる成分の乾物量 可消化 干草の種類 乾物量(%) Energy 粗蛋白 粗繊維Calcium (kcal/kg) % % % Alfalfa hay 90 1800* 15.3* 27.0* 1.4* Barley hay 87 1790 7.6 24.0 .2 Barley straw 91 1580 4.0 38.0 .3 Bermuda grass hay92 1656* 11* 27.6* .4* Clover hay red 88 1760* 17.3* 21.8* 1.3* Clover hay white 92 2024* 21.4* 20.9* 1.8* Lespedeza hay 92 1290* 12.7* 28.1* .9* Oat hay 88 2000 7.3* 29.5* .3 Oat straw 92 1640 4.1 37.0 .3 Orchard grass hay89 1829 9.8* 30.0* .3 Prairie hay 92 1670 5.3 31.0 Ryegrass hay 86 2070 7.4 26.0 .5 Sudan grass hay 91 1860 7.3 33.0 .5 Timothy hay 89 2010 6.3* 30.2* Wheat hay 88 1870 7.4 25.0 .2 Wheat straw 89 1340 3.2 37.0 .2 アメリカ合衆国−カナダにおける食品成分表、National Academy of Sciences、第三 版、1982 unless otherwise noted. * ウサギに合うように数値を補正しています。 by Peter R. Cheeke, Rabbit Feeding and Nutrition, Orlando; Academic Press, 1987. 360-365 参考資料 Brown, Susan. 1994. Care of Rabbits. Working handout for clients. Midwest Bird and Exotic Animal Hospital, Westchester, Il. Cheeke, Peter R. Rabbit Feeding and Nutrition. Orlando: Academic Press, 1987. Kraus, Alan L. et al. "Biology and Diseases of Rabbits." In Laboratory Animal Medicine. Ed. James G. Fox, Bennett J. Cohen, and Franklin M. Loew. Orlando: Academic Press, 1984. 207-240. ---------------------------------------------------------------------------- House Rabbit Society は非営利の保護教育活動を行う団体です。主旨に賛同し、こ こにある情報を有益なものと感じられた方は是非寄付にご協力下さい。 30-Jan-97 Paige K. Parsonsにより改訂