ウサギの栄養 Part II: ペレットと野菜の役割 By Elizabeth TeSelle in consultation with Cindy McBee, DVM このシリーズの最初に私たちはウサギには消化しない食物繊維が必要だと言う議論を しました。食物繊維は重要ですが、重要なのはそれだけではありません。蛋白質と脂 肪、その素となるものも、ウサギの栄養面からは極めて重要なものです。ペットフー ド業界ではウサギは犬や猫と全く同じようには受け入れられていないため、ウサギの 栄養やウサギにとって何が最良か、と言った情報はなかなか入って来ません。 動物性脂肪と蛋白に関する神話 人間は、かつて言われていたより、蛋白質の必要量ははるかに少ないことが近年知ら れています。厳格な菜食主義者でさえ必要量以上の蛋白質を消費しているかも知れま せん。ウサギは動物性蛋白質の必要も、またそれを処理する機能も持ちません。また 脂肪の必要量も低く、だいたいにおいて1-2%で十分です。 ウサギは動物性蛋白質のコレステロールを摂取すると、人間に見られるアテローム性 動脈硬化症に似た症状を示すようになります(Cheeke 1987, 325; Beynan 1990, 185-186)。ウサギの栄養に詳しい人は、「豚や家禽にとって植物油は動物性脂肪より も消化しやすく、エネルギー価も高いことは良く知られており、これはウサギにおい ても言えることだと思われます(Cheeke 1987, 99)」と述べています。それならば、 なぜ私たちが目にするウサギのペレットの成分表に動物性脂肪や、動物性脂肪の副産 物が表記されているのでしょう? ペレットは主に繁殖家に向けて製造され市販されているため、また、繁殖用のウサギ はペットのウサギよりも強くストレスを受けるため、多くの製品のペレットは高栄養 食に分類されます。これらの製品は蛋白質含有率が高く(16-22%)、温度調節されてい ない環境のウサギや、頻繁に可能な限り繁殖に用いられているウサギ、あるいは療養 中のウサギなどにとっては活動を維持するために必要なものかもしれません。肉体 的、環境面、また精神的なストレスはそれを逃れるためには高いレベルのエネルギー が必要となります。 不妊・去勢されたペットのウサギにとって適切な蛋白質の量は、およそ12-14%です。 蛋白含量がこの程度で動物性脂肪を含まず、それ以外の原料についてもはっきり明示 してあるペレットを入手することが可能です。ペットショップで、袋から出されたペ レットをばら売りで購入する場合は、そのフードの入っていた袋を必ず見せてもら い、ラベルを注意深く見て下さい。25#の袋を購入して友人と分ければ、安全でより 経済的です。残念なことに、十分な知識を持っているはずのメーカーの一つが、最近 大人のウサギの維持用のフードの蛋白質含量を16%に増加させました。以前同様にそ のフードには動物性蛋白は含まれてはいませんが、ペットのウサギの蛋白質の必要量 からはかなり多いものです。 すべてのウサギにとって最良の餌ではありません これらの情報を与えても尚、近年多くの獣医師やペットのウサギの飼育者が、市販の ペレットを特に多給することは、すべてのウサギにとって良くないことだという結論 に至ったと言うことは、いまだに驚くべきこことして受け取られるかもしれません。 結局、ペレットは繁殖家用に栄養素に富んだ餌として開発されたものです。ウサギに 必要なビタミンやミネラルが含まれ、食べやすく、長期間保存がきき、与えやすく、 犬用や猫用に比べても極めて安価です。 ペレットが極めて栄養分が高くできているため、ウサギは急速に体重を増やします。 多くの繁殖家は繁殖に用いないウサギは16週で肉用に屠殺するため (UFAW Handbook 1987, 426)、繁殖家にとっては好ましい食餌です。 明らかに、生産が目的であれば相当強力に体重の増加と維持が求められ、老齢に伴う 問題などはほとんど考慮されません。言うまでもなくペットのウサギはそのような状 態で飼育されることはありません。多くは不妊・去勢され、環境からのストレスは最 小のものとなるように屋内で飼育され、6歳から12歳ほどまで生きるものと思われま す。このようなウサギにとって、栄養価の高いペレットは肥満を招き、それに付随し た疾患に陥る危険性もあります。 好ましい給餌方法 ペレットが関連すると考えられるいくつかの疾患があることから、獣医師の中にはペ レットのみを与えず、厳密に制限するべきだとするものもいます。ウサギが食べるだ け与えるのではなく、私たちは以下に示す量を上限と考えて制限して与えています。 (Brown 1994): 体重 5-7 lb あたり 1日 1/4 カップ 体重 8-10 lb あたり 1日 1/2 カップ 体重 11-15 lb あたり 1日 3/4 カップ 小型種(2ポンド以下)は大型種に比べより栄養価が高く繊維素の少ない餌が必要で あることが知られています(Cheeke 1987, 324)。いくつかの里親の元では、極度に餌 を制限されて飼育された4ポンド以下のウサギに消化器疾患を経験しています。 ペレットを制限した場合、必ず新鮮な牧草の干し草をウサギがいつでも自由に食べら れるようにして、新鮮な野菜も以前に奨められていた給餌量以上に(1日2-4カップ) 与えることが重要です。実際に、しばしばペレットの過給に関連して問題が生じるた めペレットを一切与えずに飼育したウサギたちは健康に過ごしています。ペレットの 代わりにそのウサギたちには毎日新鮮な野菜をカップ一杯と、牧草の干し草を欲しが るだけ与えています。他のペレットを与えているウサギも上記の量よりはるかに少な い量を与え、それに対応して与える野菜の量を増やしています。太りすぎのウサギを 安全に減量させるためには、このような極端な基準が特に役立ちます。おやつは新鮮 な果物を少量(小さじ1杯)にとどめるべきです。炭水化物の与えすぎは腸炎と関連 するとされているため、大部分のでんぷん質は避けるべきです。オーツ麦や大麦は少 量であればウサギは消化できますが、 それでも必要量よりカロリーが多すぎます。 給餌試験を行い、ペレットフードを食餌の50%にまで減らして野菜を補ったところ、 若いウサギでは正常な成長が得られました。ペレットを50%以下に減らしたところ、 成長率は低下しました(Pote et al 1980)。この研究は、若い未去勢のウサギでもペ レットフードを制限しても健康に育てることが出来ることを示しています。私たちの 飼っているウサギの多くは、体重を増加させるよりも減量の必要があり、ペレットを 50%以下に減らすことは不妊・去勢をされたおとなのウサギに悪く影響することは無 いでしょう。 どのような種類の野菜が良いですか? どのような種類の野菜がウサギにとって最も良いか、と言う点については様々な考え があります。ほぼすべての人が、ニンジン、ニンジンの葉、ブロッコリー、パセリは 安全だと考えています。豆類、ジャガイモ、一部のレタスは問題を起こす可能性があ ります。HRSの会員や里親たちは色々な野菜を試みて良い結果を得ています。コラー ドやカラシ菜、タンポポやチューリップの葉、ホウレンソウ、ケール、エンダイブ、 コスレタスなどです。 毎日少なくとも3種類の野菜を与えることが望ましいでしょう(できればニンジンと は別に)。一種類だけ与えると栄養的の偏りを招くことになります(Brown 1994)。し かし、毎日少なくとも少量のペレットを与えていれば、そのような栄養の偏りは滅多 に起こりません。 ケール、カラシ菜、ホウレンソウには高濃度の蓚酸塩が含まれ、これが組織に蓄積さ れ、長期に亘ると毒性を発揮します。これらの野菜はウサギに大変好まれるため、与 えないようにするのではなく、週に1-3回に制限すれば良いと思います。一つの方法 としては、ケールを他の野菜と一緒に数日間1-2束が無くなるまで与え、その後1週間 程度は購入しないようにします。もしあなたのウサギが尿道結石を生じやすい傾向が あれば、カルシウムの多い野菜についても同じように注意することができます。特に ペレットをほとんど、あるは全く食べないウサギの場合、ビタミンAを多く含む野菜 (ニンジン、コラードやカラシ菜の葉、エンダイブ、パセリなど)を毎日少なくとも 一種類与えるようにします。以上述べたような与え方が面倒に思えるなら、単純に多 すぎず少なすぎず、出来るだけ様々なものを与えるように心がけて下さい。これなら 私たち誰にも良く理解できるでしょう。 ウサギの食餌に野菜の量を増やす上で最も重要なことは徐々に増やすことです(ここ に示した量は多くのウサギにとってはたいへんな増量に相当します)。たとえウサギ にとって安全な野菜であっても、まだその野菜になれていないウサギにカップ1杯も 一度に与えることは、消化器官に障害を与えることになります。それに代わり、それ までに与えて問題の無かったもの、ニンジンなどから与え始めます。与える量を徐々 に増やし、下痢を生じない限り数日ごとに新しい種類の野菜を加えてゆきます。この 方法によれば、消化器疾患が生じたときに、何が原因かわかります。 ウサギにとって最も良い新鮮な食餌は、有機的に殺虫剤などを使用せずに生産された ものです。どのような場合も、ウサギに与える餌を事前に良く観察して下さい。ニン ジンは皮を剥かずに(皮は栄養に富んでいるので、それを捨てることになります)野 菜用のブラシで洗って下さい。汚れや、殺虫剤が残っていればそれをおとし、腐って いるところがないか調べます。自然に生えているタンポポが殺虫剤に汚染されている かどうかわからないときは、近くの自然食品店で有機栽培されたものが無いか探して みて下さい。 問題の この、より自然に近い餌に考えられる別の利点は、ウサギの食欲が落ちたときに気づ きやすいことです。なにか病気にかかったときにより早く気づくことが出来ます。こ の方法で給餌されているウサギがわずかでも餌を残すようなら何か異常が考えられま す(例えば初期の腸炎など)。このため他の場合よりも数日早く治療に入ることがで きます。大多数のウサギの飼い主がこのように安心していられることを歓迎し、また 大部分の獣医師が状態がひどく悪くなる前にウサギを診察することが出来ることを大 変喜びます。 継続的な調査 あなたがウサギに与える野菜の量を十分に多くしていても、私たちはウサギの食餌か らペレットを完全に制限することについて医学的な根拠が示されていないことから、 推奨することは出来ません。穀類が馬の食餌の中に加えることが認められるようにな ったのと同様に、ペレットもウサギの餌の一部に認められています。毎日少量与える ことは食餌がバランス良く保たれていることを確実にします。それでも私たちのHRS における経験と、数多くのウサギの診察をしてきた獣医師の経験から、大部分のペッ トのウサギに与えられているペレットの量は、栄養的に必要な量からははるかに多い ものです。時間の経過と共に、また食餌の変化の影響についてより多くの情報を得る に従って、私たちのウサギを出来る限り長い間健康に幸せに保つための食餌について より良く学びました。ですから、皆さんの経験も知らせて下さい。常に私たちは他の どのような情報源からよりもウサギ自身からより多くのことを学びます。 ---------------------------------------------------------------------------- 参考文献 Beynen, A.C. and M. Sugano. 1990. "Dietary protein as a regulator of lipid metabolism: State of the art and new perspectives." Journal of Nutritional Science and Vitaminology 36, Suppl. 2: S185-8. Brown, Susan. 1994. Care of Rabbits. Working handout for clients. Midwest Bird and Exotic Animal Hospital, Westchester, Il. Cheeke, Peter R. 1987. Rabbit Feeding and Nutrition. Orlando: Academic Press. Jenkins, Jeffrey R. 1993. A Practitioner's Guide to Rabbits and Ferrets. Lakewood, CO: American Animal Hospital Association. Pote, L.M., Cheeke, P.R., and Patton, N.M. 1980. "Use of greens as a supplement to a pelleted diet for growing rabbits." Journal of Applied Rabbit Research 3, 15-20. The UFAW Handbook on the Care and Management of Laboratory Animals. 1987. 6th edition. Ed. Trevor B. Poole. Essex: Longman Scientific and Technical. ---------------------------------------------------------------------------- House Rabbit Society は非営利の保護教育活動を行う団体です。主旨に賛同し、こ こにある情報を有益なものと感じられた方は是非寄付にご協力下さい。 1/1/97 Paige K. Parsonsにより改訂 ----------------------------------------------------------------------------