歯が牙のように伸びたとき Diana Petty ---------------------------------------------------------------------------- 先の号でSusan Brown, D.V.M.によるウサギの不正交合と歯牙疾患の原因の記事を掲 載しました。特にDr. Brownの切歯の抜歯に関する経験について掲載しました。この 号ではウサギの歯についてさらに新しい情報、切歯の不正交合に関する別の処置法、 また一匹のウサギの経験した歯の治療について掲載します。 1987年に飼い主が高齢で亡くなったためにBusterが我が家にやってきたとき、彼女は 健康で、自信に満ち、体重は約9ポンドありました。しかし、彼女の下の歯は牙のよ うに長く伸び、下顎から鼻にまで届いていました。更に悪いことに、上顎の切歯は後 ろ向きに口の中に巻き込んでいました。 私は不正交合については聞いてはいましたが見るのははじめてでした。幸いにも Busterの臼歯は正常で、ペレットや野菜も容易に食べることが出来ました。大きな餌 (ニンジン、リンゴなど)はごく小さく切って与える必要があります。何度か自分で 歯を切って整えようと試みた後に、私たちは経験の豊富な獣医師のJill Chaseに出会 いました。今では毎月一回程度切ってもらっています(彼女は私たちにも必要な場合 に備えて切り方を教えてくれました)。この3年間、私たちは餌を細かくして与え、 歯を整えてきました。 昨年Busterは非常に良くない状態になりました。食欲が無くなりましたが、実際には 食べたくても食べられなかったのです。Dr. Chaseはすぐに重度の歯肉の感染を見出 しました。おそらく不整な歯の間に残った糞が原因でしょう。Busterはものを食べよ うとするとひどい痛みを伴うのでした。彼女は危険なほどに長い間餌を食べずにいま した。ウサギはわずか24時間でも食べずにいると、危険な状態に陥ることがあるから です。レントゲン検査によって彼女の腸管内はガスが充満していることがわかりまし た。出来るだけ早く彼女に餌を食べさせる必要がありました。 歯肉の感染は抗生物質、希釈した消毒薬による頻繁な歯の清拭により容易に治療が可 能です。しかし彼女は動物病院へ2日間入院した後にも食欲は出ず、体重は2ポンド減 りました。Dr. ChaseはBusterは家(私のフードプロセッサーの近く)で看護する方 がよいかも知れないと仰いました。しかし実際にもっとひどい状態が始まったのはそ の時からです。 私たちはいつもウサギが食べているペレットを柔らかくなるまで水に浸し、たっぷり の水を一緒にフードプロセッサーにかけました。後に私は少量なら手に持つミキサー のほうが使い安いことに気づきました。給餌用の注射器をBusterの唇の端の方に入 れ、餌でむせないように注射器の内筒をゆっくりと押します。理屈からすればBuster は欲しいだけの餌を音を立てて飲み込むことが出来ます。 最初Busterは給餌をしたり治療されるのを嫌ったので、たいへんな苦労でした。特に 私たちが彼女に餌をいつも食べる程度に強制給餌しようとして以来嫌うようになりま した。その量は多く、ペレットはふやかすと通常のほぼ3倍の量になります。私は火 を通したオートミールも加えていましたが、徐々に与える餌の濃度が重要なことに気 づきました。水とオートミールの割合を適切にすることで、クリーミーに食べやすく なります。どちらかが少なすぎても彼女は吐き出してしまいます。パパイアやバナ ナ、リンゴなどの果物は香りを加えるために用います。数日するとBusterは一日に 180ccほどをがつがつと音を立てて食べるようになりました。鼓腸症を防ぐため、私 は2ー3時間おきに餌を与えるようにしました。 2週間後にはBusterは再び自ら餌を食べ始め、私たちを喜ばせました。それでも彼女 はやわらかくしたペレットやよくすりおろしたニンジンを好みました。それ以来私た ちはBusterの歯を定期的に掃除をし、歯肉の傷害の再発の防止に努めています。 昨年の秋に同じ状態が再発しました。Busterは突然煉瓦の床に飛び降り、着地の際に 強く衝撃を受けました。唇が切れ、歯が折れたのに気づきましたが、それ以外には怪 我はありませんでした。彼女の歯と歯肉は健康に見えましたが、それ以来彼女は餌を 食べず、今回はまた違った不具合があるように思われました。私たちは出来る限りの ことをしましたが、Busterはひどく具合が悪く、給餌の際には毎回怒っていました。 そして、ある晩彼女はひどくお腹が空いてブドウを一つ食べようとして、それを喉に 詰まらせてしまいました。一晩彼女は酸素吸入を受け、より詳しい検査の結果下顎が 骨折していることが疑われました。 この際の傷害では給餌は顎が治癒するまで6週間続けました。彼女の顎を痛くしない ように私たちはごくゆっくりと給餌しなければなりませんでした。以前は私は一人で 彼女を両足の間に挟んで後ろから覆い被さるようにして給餌していましたが、今回は 彼女の顎をさらに傷つけることがないように夫の補助を必要としました。 3週間後にはBusterは柔らかくした餌を自分で食べるようになり、注射器による給餌 を補助的に行いました。怪我から6週間後にはBusterは食器から乾燥フードを食べ、 それ以後失った時間をを埋め合わせるように食べました。6ポンド以下に体重は落ち ましたが、今ではほぼ10ポンドにまで回復しました。 Busterは自分が必要としているものを確かにわかっているようでした。この苦しい体 験の間、彼女はよりいっそう私たちにすり寄り、抱きしめてくれるように求め、わた したちもそうしました。回復の時期には彼女は毎日何時間もレモンの木の小枝をかじ り、枝を自分の口の一方の端からもう一方の端へと動かしていました(このことが彼 女の臼歯を正常に保つのに役立ちました)。自力で乾燥フードを食べられるようにな るともう枝には興味を示しませんでした。 Busterの年齢が定かでないため(少なくとも6歳以上です)私たちは彼女の歯を抜歯 することは考えませんでした。乳腺腫瘍切除の大きな手術を彼女は既に経験していた ことに加え、さらに重要なことは彼女がそのままでも不自由がなかったためです。私 たちにとってたいへんな労力を必要としましたが、それには利点もありました。彼女 が最初に私たちのところへやってきたときは、攻撃的で非協力的でしたが、今では優 しく、私たちを信頼していて、扱いもしやすくなりました。また、家の中の危険なも のや高価なものはかじらなくなりました。 Busterの好んだピューレスープ 大さじ2-3杯のふやかしたペレット 大さじ1杯の加熱した圧片オーツ麦 大さじ1-2杯の新鮮なパパイアやバナナ、リンゴ、細かくすり下ろしたニンジン すべてを小型のフードプロセッサーに入れ、ピューレ状にします。滑らかになるまで 十分に水を加えてます。冷凍庫で保存しますが、給餌する15分前には室温に戻しま す。解凍するときには水を加える必要があるかも知れません。24時間ごとに新しいも のを作り直さなければなりません。ウサギと給餌係のどちらもが十分慣れるまでは、 汚れたときのためにタオルや布を十分に用意して下さい。 ウサギの歯の歯根は開いていて、爪と同じように伸び続けます。ウサギには全部で28 本の歯がありますが、通常の観察では上下4本の切歯だけが見ることが出来ます。 正常な状態では歯は真っ直ぐに伸び、お互いに一列に向き合います。臼歯は食餌の際 のかみ合わせによって短く保たれ、切歯は木片やその他のものをかじることで短く鋭 い状態を保ちます。歯を良い状態に保てなければ、ウサギは餌をとることが出来なく なります。 ウサギは切歯を色々な目的に使います。餌をくわえたり噛みきったり、愛情表現や毛 の手入れ、身を守るためにも用います。ウサギに噛まれたことのある人、またはかみ ついているタオルを取り上げようとしたことのある人は、その小さな顎と歯の強さを 知らされたことでしょう。 不正交合があれば歯は適切に並びません。以前の会報にも記載したように、不正交合 は先天的要因、外傷、感染症などが原因となります。Busterのように、歯が外側や内 側に湾曲する例もあります。餌や被毛その他のものが歯の間の歯肉に近い部分に挟ま った場合に感染を起こしやすくなります。 不正交合は定期的に切歯を切ってあげることで治療できます。先の記事で、湾曲した 歯を外科的に切除する方法も選択肢として考えられることを書きました。私はこれが 必要とされることは稀であると思います。定期的に歯を切断することは安全で、傷つ けることも無く、切歯の過長歯を補正するには現実的で費用もかからない方法です。 歯の切断には数分しか要しません。ウサギの切歯の切断に慣れた獣医師に行ってもら う方が良いでしょう。獣医師はあなたに歯を粉々にしたり裂けたりすることなく切る 方法を教えてくれるかもしれません。 臼歯に問題が生じることは稀ですが、臼歯の不正交合も起こり得ます。臼歯は外から 見ることが難しいため、他の目的で鎮静をかけることがあれば、同時に歯の診察もし ておくと良いでしょう。臼歯に起こりうる他の問題は、臼歯の裏側に餌が挟まること で生じる眼球後部の膿瘍です。 過去に歯牙疾患の経歴のあるウサギは注意して観察を行うようにします。口腔の感染 を疑う症状としては、食欲の減退、沈鬱、活動の低下などです。食べることが出来な いウサギは、餌を噛もうとするかもしれませんが、その後に吐き出します。または、 餌をくれるように催促するかもしれません。ウサギは長い間餌を食べずにいることは 出来ないことを認識しなければなりません。腸管の動きが損なわれて、ウサギは死に 至ることもあり得ます。もしウサギが自ら採食できなければ、獣医師はあなたにどう すればよいか指示してくれるでしょう。Busterのように傷害がある時には飼い主によ りいっそうくっついてきて、具合の悪さを示唆するようなウサギもいます。 口腔内の感染は抗生物質によって治療が可能です。また、感染部位は清潔に保たなけ ればなりません。健康な歯肉はピンク色で、不健康な歯肉は明るい赤や灰色、時には 白くもなります。感染がある場合は必ず獣医師の診察を受け、適切な治療を始められ るようにします。顎の骨折やその他の骨格の異常が疑われる時は、レントゲン検査を 受けてください。Busterの例のように、骨折があっても人間と同じ程度の期間で回復 します。命にも関わる切歯の不整をより簡単な方法で整えることは大変重要なことで す。頻繁に歯の治療を行わなければならいウサギが、より人間に扱われやすくなって いった例も見ています。このことはウサギの生涯を通じて面倒を見なければならない 飼い主にとって、その管理が十分容易に耐えられるということを教えてくれます。 [Image] [Image] ---------------------------------------------------------------------------- House Rabbit Society は非営利の保護教育活動を行う団体です。主旨に賛同し、こ こにある情報を有益なものと感じられた方は是非寄付にご協力下さい。 8-Feb-97 Paige K. Parsonsにより改訂 ---------------------------------------------------------------------------- ------------------------------------------------------------------ Tetsuro Oka, 岡 哲郎, 哲☆ okatetsu@leo.bekkoame.or.jp / gbg00613@niftyserve.or.jp Exotic Pet Guide: http://www.bekkoame.or.jp/‾okatetsu Exotic Pet Clinic: http://www.bekkoame.or.jp/‾okatetsu/clinic.html ------------------------------------------------------------------